武田舞彩が、1月6日に代々木LIVE STUDIO LODGEにて開催されたイベント『tone tone 〜New Year Party 2024〜』にて2024年のライブ初めを行なった。
2024年ライブ初めの武田舞彩
比較的無機質な空間なことが多いライブハウスの中で、石積みの壁やウォールグリーンなど温かみを感じさせる空間デザインが施されているのがLIVE STUDIO LODGE。武田舞彩は、同ライブハウスの年明け最初のイベントの、トップバッターとしての登場となった。
開演時間となりフロアが暗転すると、愛器のテイラーを抱えて舞彩がステージに姿を見せる。知っている人も多いと思うが、対バンイベントの場合、一番最初の出演者がスケジュール的に一番最後にリハを行ない、ステージ上はそのセッティングのままで開場および開演となる。ゆえに舞彩も軽くセッティングを行なって、「おんなの化け学」からライブスタート。2024年一発目だからといって、舞彩はいつもと変わらない様子で、客席に笑顔を投げかけながらギターを掻き鳴らす。
さらに2曲目は瞳を閉じて気持ちを乗せて「大渡海」を歌い上げる。“「大丈夫」ってウソをついたの?”のかは知らないが、そういえば年末年始に体調を崩してた人は大丈夫だっただろうか……と思い浮かんだり浮かばなかったりとかしたのかもしれない。
“縁起のいい食べ物”の曲
「みなさん明けましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いいたします。お正月はゆっくりできました? 私も今日が今年初めてのライブでして、ここ、LODGEさんも今日がライブ初めだそうです。ちょっとおめでたい感じです。新年1発目のライブなので、“縁起のいい食べ物”の曲を歌おうかな。」
正月の挨拶もそこそこに、「“縁起のいい食べ物”の曲」との曲紹介でフロアからは笑いが起こる。初夢に“一富士二鷹三茄子”とあるように、それは確かに縁起のいい、おめでたい食べ物なのかもしれない。ただ、彼女がその食べ物のタイトルをつけた曲は、どっちかというと“とてもおめでたい人(※褒めてません)”のことを歌った曲だったからだ。
というわけで、1stシングルとしてもリリースされた「なす」へ。ちなみに彼女がソロ活動を開始した初期の頃から披露されてきたこの曲だが、ライブで聴くと少しずつアップデートされていることに気づく。それはギターの音の鳴らし方だったり、彼女自身の声の出し方や歌い方だったり。石川さゆりの「天城越え」の一節「あなたを殺して いいですか」の歌い方がキャリアを重ねていく中で変化していくのと同じように、武田舞彩の「なす」も、彼女がキャリアと人生経験を重ねていくにつれて形を変え進化していく楽曲となるのだろう。
武田舞彩の最新ライブスタイルはルーパー使用
進化といえば、この日は(この日も?)武田舞彩のライブスタイルの最新形態を体感できた。それは彼女の足元にセッティングされたルーパー(BOSS「RC-300」)を用いての「child actor」。舞彩は足元でルーパーを操りながら、手のひらや指でギターのボディーや弦を叩いたり弾いたりしてグルーヴを組み立て、そしてコードストロークやリフを奏でて曲の流れを作っていく。
相棒のギターを鳴らしながら、自分ひとりだけで組み立てた音の中を心地よさそうに歌い泳ぐ武田舞彩。まさに、彼女にとってLA留学中にサンタモニカにあるサード・ストリート・プロムナードでストリートライブを行なっていた頃からカバーするなど憧れのアーティストであり、今月、京セラドーム大阪と東京ドームで来日公演を行なう(ソールドアウトしたので追加公演も発表済みの)エド・シーランを彷彿とさせる。全世界をたったひとりで熱狂させることができる彼の比類なきステージングに、自分も少しでも近づけるように。
そんな武田舞彩の想いと努力が結びついたパフォーマンスだった。
『しつけとか大変だと思うけど、頑張ってね。』(武田舞彩のMCより)
「お正月はいつも地元の福井県に帰るんですけど、今年はやることが残ってたので東京に残っていて。今年はお姉ちゃんも地元に帰らなかったので、両親が『娘たちが帰ってこないならおせちはいいや。』って寂しいこと言ってたんですけど。だから、久しぶりに年賀はがきを買って、年賀状を書いてみたんです。でも家族に書くのも小っ恥ずかしい気持ちがあったので、実家で飼っている犬にメッセージ書いて。『しつけとか大変だと思うけど、頑張ってね。』とか。名前はぺこっていうんですけど、住所も書いて、“ぺこ様”って。でも届かなかったんです。犬宛だとダメみたい。住所が間違っていたのかもしれない。」