32歳ラストライブ── 汗と笑いと感動の90分。吉川友が魅せた本音の夜

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「今日も平日なのに来てくれてありがとう!」

あなたもきっと感じたことがあるはずだ。仕事帰りの疲れた体を引きずって、「行くべきか帰るべきか」と葛藤する気持ち。そんな思いも脳裏に去来する、冷たい雨降る平日の夜。2025年4月2日よる7時。渋谷ロフトヘブンは熱気に包まれていた。

「舞台女優」か「歌手」か、その選択の先に見えたもの

32歳ラストライブ── 汗と笑いと感動の90分。吉川友が魅せた本音の夜

「あたしがお客さんだったら、雨だし冬みたいな天気だし、あんま来たくなくなるけど……でもチケット代払ってるって考えれば、嫌だけど行くかってなる気がするね!」

吉川友の言葉に、冒頭から会場は笑いに包まれる。アイドルらしからぬ正直すぎる発言。でも、だからこそ愛される彼女の魅力が、この日も存分に炸裂していた。

2024年は舞台女優としての活動が重なり、歌手活動を減らさざるを得なかった彼女。そんな彼女が「2025年は歌手としてもしっかり活動していく」と宣言したのが2025年最初の、といっても2月のバレンタインライブ。そして今回は、33歳の誕生日を目前に控えた「32歳ラストライブ」。

今夜はどんなステージが待っているのか?

「月1ペースのライブ」の嘘と本当

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「みなさんこんばんは。さあ、始まりました。月1度の月1回ペースで、今……やってないね、私。ごめんなさい。」

自分の嘘にすぐ気づいて訂正する彼女の姿に、またも会場からは笑いが起こる。そんな軽快なMCからスタートしたライブは、いつもと違う構成で観客を驚かせた。意図的かたまたまか、通常なら後半に配置される盛り上がり曲を、いきなり前半に詰め込んだのだ。

「URAHARAテンプテーション」「抱いてHOLD ON ME」「チャーミング勝負世代」など、アッパーな楽曲が次々と繰り出される。「立って盛り上がって!」というきっかからのリクエストもあり、スタンディングとなったフロアならではの一体感が生み出され、早くも会場のボルテージは最高潮に達する。

「うわあ、なんだろう、不甲斐にも汗かいちゃってるよ、私! おかしいな、汗かく予定じゃなかったんだけど。」

全力パフォーマンスの証である汗を拭いながら、息を切らして語る彼女の姿。このアップテンポな曲が並んだブロックで、瞬間的にステージと客席の境界線は完全に溶けていた。

「エコバッグ持たない派」の驚きの告白

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MCでは、先日出演したイベント「カーボンニュートラルを考える2025 by SATOYAMA&SATOUMI movement」の裏話も。

「私、エコに程遠い人間だからさ、以前『普段エコなことしてますか?』って聞かれて、『割り箸使わないようにご飯は手で食べてます』って馬鹿げた回答しかできなくて…」

そんなエピソードに、会場からは笑いが起こる。さらに「今年はもし聞かれたら、『今流行りの風呂キャンセル界隈をして水の節制をしてます』って言おうと準備してた」と、きっかは明かしたものの、今年の吉川友はSATOYAMA&SATOUMI movement運営サイド的に「発言キャンセル界隈」入りだったのか、用意していた“必殺カード”の出番はなし。

そんな告白に、友フレ(吉川友のファン)たちは笑いっぱなしだ。

「エコバッグも持たないでポッケとかに物を詰めるタイプだし……まあ、そんな私を好きってことは、あなたたちも多少はいろいろネジがちょっと外れてる方たちなんだなって安心してるけど!」

ファンへの愛ある(?)いじりで会場の空気はさらに温かくなっていく。これこそ、吉川友のライブの真骨頂だ。

「きゃぴきゃぴできない」33歳前夜の葛藤

歳を重ねるにつれての変化も、包み隠さず語られた。

「年々フレッシュさがなくなってるなって。こないだのイベントでステージ上での挨拶も、『皆さんこんにちは、吉川友です。』って落ち着きすぎてて、(若さが弾けていた現役のハロプロメンバーとの差に)すごい笑われたの!」

デビュー当時からのファンに「あたしって昔からこうだった?」と問いかける彼女。「きゃぴきゃぴできないんだよね……。え、求めてる? まだ求められてるなら全然頑張るけど……!」と戸惑う姿は愛らしく、同時に誠実だ。

「他のアイドルみたいにカメラ目線とか甘い言葉とかできないし、今なんか”無双”してます。ほんとどうしようね。『どう生きる君たちは』って感じ」

しかしながら、彼女が言う“無双”とは、自分らしさを貫き通すことかもしれない。そこには迷いはなく、ただ「やり方は違うものの、しっかり後輩を支えられる先輩ではありたい」という強い意志すら感じられる……とか一旦フォローしてみたけど、いやこれは単に“迷走”をいい間違えただけ。彼女は意味ではなく音で単語を記憶しているため、こういう間違いは日常茶飯事だ。

「カラオケで自分の曲を消した」驚きのエピソード

さらにトークは、吉川友ならではの赤裸々な体験談へと移る。

「カラオケ機材が設置してあるご飯屋さんで、友達に勝手にデビュー曲『きっかけはYOU!』を入れられて…」

歌いたくないと思った矢先、自分たちより後方の席から、キュー待ちのテレビ画面を見たであろう男性より「吉川友(の曲)じゃん! 俺デビュー当時めっちゃ好きだった」という声が。バレてはいないものの焦って曲をキャンセルすると、「なんで消したんだよー!」と怒られてしまうという珍エピソードに、会場は大爆笑となった。

きっかは、「ほんと、どこであなたたちに会うかわからないから、言動とか格好とか気をつけないとね! ジャージとかで行かないように…」と反省しつつ、「でも、もし街で会っても話しかけないでください! 私、意外と神経質なので逃げると思います!」というまさかのお願い。ファンも苦笑いするしかない。

「シティームーン」で魅せた、新たな吉川友

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ライブ中盤では、ボーカリストとしての実力を堪能できる楽曲の数々。特に注目は先日配信されたばかりの新曲「シティームーン」だ。

「デビュー当時から比べると、歌詞の内容も曲調も歌い方も……なんか私って大人の女に、まだなりきれてないけど、もがいて頑張る感じ? 年重ねてるなーって思いました」

リハーサルでは「この曲難しい!」と不安を吐露していたという彼女だが、本番では必死に歌い上げる姿が曲の雰囲気と絶妙にマッチし、観客の目と耳を釘付けにした。

さらに彼女は、この曲との個人的なエピソードを語り始める。

「この曲を初披露した2月のライブの後に、茨城に帰ったんですよ。デビューする前、ハロプロの研修生時代に毎日バスで2時間かけて東京と茨城を往復してたんだけど、なんかふと、あの頃みたいにバスに揺られながら、真っ暗な田んぼ道を見ながらこの曲聴いたら、なんかちょっとエモいなって」

それは、デビュー前の苦労と現在の自分を重ね合わせるような、感慨深い瞬間だったようだ。

「おばあちゃんに捧げる歌」と驚きの展開

後半では、意外な話題が展開された。先日、「虫の知らせ」のような直感で茨城の実家に帰省したという彼女。

「そしたら、母方のおばあちゃんが『ちょっと危ないぞ……』ってなって! ほんとタイミングよくて、挨拶に行けたの」

しんみりとした空気が流れる中、彼女は続ける。「会って、『おお、頑張れ頑張れー。』なんて気楽に声かけたんだけどね。もうあと2、3日でいなくなっちゃうのかな……って思ったんですよ、私も」

会場が息を呑む。きっかは続ける。「なんか、手もむくんでてさ。『なんだこれ! ぷにぷにしてっぞ!』って茶化しながらやってたんだけど……ええ、(おばあちゃんは今も)生きてます!」

この予想外のオチに会場は大爆笑。「いつ逆に死んでしまうんだろうって。『いつ死ぬの?』って思うぐらい今は生きてて、ありがたいんですけどね!」というきっか節全開のコメントで、さらに笑いが広がる。

そして「今日はじゃあ、まだピンピンしてるおばあちゃんに向けて、ラスト後半戦3曲歌いたいなと思います!」という宣言から、森高千里のカバー「私がおばさんになっても」へと繋げる流れは絶妙だった。

「永遠の31歳」が語る33歳の決意

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ラストスパートは「NEO SUGAR SUGAR YOU」で締めくくられ、会場のボルテージは最高潮に。そして彼女は満足げな表情で次のライブの告知へ。

「また来月、5月1日にいよいよ33歳になります! Instagramのプロフィールには永遠の31歳って書いてあって、絶対直さないって思ってるんですけども!」

その宣言に会場は笑いに包まれつつも、「ほんとにね、こうしてまた年を重ねられて、お誕生日当日にみなさんにお祝いしていただけるなんて、ありがとうございます!」という感謝の言葉に、温かな拍手が送られる。

そして配信を見ているファンへ向けて「きっかちゃんパワー……注入♡」と、ぶりぶりの声色でアイドルらしいポーズを決めかけた彼女だったが、「やっぱ私、ぶりっこは性に合わないわ! 無理だね無理だね、うん、オッケーオッケー!」と光速のセルフツッコミ。

この自分に正直な姿こそが、吉川友の最大の魅力なのかもしれない。

「でもね、フレッシュさは忘れずに! 33歳になりますけど、フレッシュさ溢れる感じでライブしたいと思うので、またお時間あれば遊びに来てください!」

「無双する33歳」はどんな姿を見せるのか

32歳ラストライブ── 汗と笑いと感動の90分。吉川友が魅せた本音の夜

32歳ラストライブとして記憶に残る一夜。舞台女優としての活動が多かった昨年から、歌手活動にも力を入れる今年。吉川友は33歳を迎えてどんな姿を見せるのだろうか。

「きゃぴきゃぴできない」と自らを評する彼女だが、その正直さが生み出す笑いと感動の渦は、他のどんなアイドルにも真似できない独自の魅力だ。歌とトークで自分の空間に引き込んで『無双』していくその様子。それはきっかが、自分らしさを貫く強さ。年齢を重ねるごとに磨かれていく彼女の武器であり宝物なのかもしれない。

5月1日の生誕ライブまで、あと1ヶ月もない。平日の夜に足を運んだファンも、配信で応援したファンも、次はぜひ現地で「無双する33歳」の姿を目に焼き付けてみることをおすすめしておきたい。吉川友のステージは、巷のアイドルでは到達できない、そして他のアイドルのライブでは経験できないエンターテインメントだ。

◆吉川友 オフィシャルブログ
◆吉川友 公式X
◆新曲「シティームーン」(Amazon)

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