PINK CRES.初単独。「出会えてよかったわ。」

涙もろくなった雅ちゃん、やっぱり泣く。

2015年3月より無期限の活動停止期間に入っているBerryz工房、そして2017年5月22日に横浜アリーナにてラストライブを行なったBuono!。日本国内のみならず世界的にも多くのファンを持つ両グループの中心的メンバーとして活躍し、現在は女性ファッション誌『ViVi』のViVigirlのメンバーでもある夏焼 雅。彼女の率いるガールズボーカルグループ・PINK CRES.が、初めてのワンマンライブ『PINK CRES. 1st LIVE ~crescendo~』を7月23日、新宿ReNYにて開催した。

オーディションで選ばれた小林ひかる、二瓶有加とともに結成されたPINK CRES.は、2016年8月に行なわれた雅ちゃんのバースデーライブにて初パフォーマンスを披露。同月にBuono!が日本武道館で行なった『Buono! Festa 2016』にてグループ名が発表となり、本格的な活動を開始した。あれから約1年。6月には1stアルバム『crescendo』をリリースし、この日、満を持しての初ライブを迎えていた。

新宿ReNYは開演前から700人の超満員。まだ彼女たちに名前がなかった頃を知っている人、もしくは、日々の地道な活動を通して着実にファンを増やしていったことを知っている人からすると、このフロアの人口密度は不快なものではなく、むしろ清々しさや達成感にも似た心地よさすら感じるほど。そしてステージに目をやれば、DJセットが設置され、PINK CRES.のネオンロゴも掲げられている。後世まで語り継がれることになるであろう、PINK CRES.の記念すべき初ライブ。その歴史的瞬間を共有せずにはいられない。ファンの期待感は熱気となり、このフロアに立ち込めている。

 

雅ちゃんもついつい、はにかみが止まらない。

いよいよ開演。アッパーなビートがフロアを揺らせば、会場はピンクのペンライトが揺れる。そしてここで、東海地区でオンエアされているラジオ番組『ハロドラ』の音源が流れてくる。PINK CRES.の1stライブ終了後に収録されたという設定で展開される、この公演のために用意された特別プログラムだ。「Berryz工房時代からも経験したことがないくらい盛り上がった!」「曲がよかったってみんながアルバム買ってくれたらしいよ!」との雅ちゃんの発言に、会場からも思わず笑いが起こる。

歓声の中で、DJ JURI、ダンサーを引き連れてPINK CRES.がステージに登場する。オープニングを飾ったのはミュージックビデオもすでに公開されている「fun fun fun」。おしゃれと恋愛、気まぐれとちょっとの自信。そんな3人の姿が浮かんできそうなガーリーチューンにオーディエンスは冒頭から大興奮。全身でPINK CRES.のサウンドを楽しんでいるファンの姿を目にして、雅ちゃんもついつい、はにかみが止まらない。

「ようこそー! 最高ですね!」と、雅ちゃんが、ステージからピンクに染まったフロアを見渡す。そして、3人は最初の挨拶を行なう。

「今日は人生初のワンマンライブで、めちゃくちゃ緊張してビビりまくっているんですよ。だけど、ピンクのペンライトが綺麗すぎて。ありがとうございます。最後まで楽しんでいってください。」──二瓶有加

「小林ひかるです。よろしくお願いします。初の単独ライブということなんですけど、みなさん、今年で一番の元気を今日、出していってください。ぜひ。そしてPINK CRES.、私たちを見て、元気になったよ、癒やされたよ、ってちょっとでも思ってくれたら嬉しいなって思ってます。小林ひかるです。よろしくお願いします。」── 小林ひかる

「名前2回言うっていいね。真似していい? 夏焼 雅です。やっとワンマンライブできるってことで、もうめっちゃくちゃ嬉しくて。もうなんだろ、ドキドキが止まんなくてさ、昨日寝れなくて。でも、こんな真夜中にTwitterとかをアップしたらご迷惑だろうなって思って、それは明日言おうって思ったけど、ホント楽しみな気持ちがすっごくて。だから今日はみんなと最高の時間を過ごせたらいいなって思っています。よろしくお願いします。“夏焼 雅”にみんなついてきてください。よろしくお願いします。」── 夏焼 雅

小林が名前を2回言ったのを真似て、自分もしっかり2回言って自己主張激しめにアピールしていく雅ちゃん。小林とは圧倒的なキャリアの差があるにも関わらず、昔から変わらない雅ちゃんのこの対抗心のような子供っぽさ。これもまたこのグループの魅力のひとつだろう。

 

最強×最強の掛け算。つまり最強。

そしてアルバム収録曲からミドルチューン「片隅」をライブで初披露。艶やかに、かつ、伸びやかな雅ちゃんのボーカル、そして言葉を丁寧に歌い上げる小林と二瓶の歌声に身を委ねて、オーディエンスは心地よさそうに体を揺らす。

DJ JURIが回す強烈なEDMに乗って、二瓶が4人のダンサーとともにパワフルに、セクシーに魅せるダンスコーナー。挑発的な視線で会場を煽っていく二瓶の姿からは、“PINK CRES.は夏焼 雅だけではない”と印象づけるのに十分過ぎた。

さらに、再びラジオ番組『ハロドラ』が流れ出す。今度のコーナーでは、“接客のプロフェッショナル”として名古屋市栄にあるというガールズバー・PINK店長の“ギャルにへ”さんがゲストとして登場する。「おっつー」と軽快なトークを繰り広げる彼女。「ガールズバー・PINKってどんなお店なんですか?」という小林の質問に「やっぱ人間はバイブスとバイブスのぶつかり合い。人の原動力のぶつかり稽古みたいなもんですね。」と、さすがは店長と膝を打つ奥深いコメント。“三度の飯よりテキーラ”というバイブスYeah!な“ギャルにへ”さんである。

そんな(今夜はテンアゲな)コーナーを挟んで、「Tell me why」「Warning~未来警報~」と、ソリッドなアルバム曲が次々に披露される中盤。3人は、序盤のガーリーテイストな衣装から、B系テイストを盛り込んだファッションにチェンジして、クールなPINK CRES.で会場を魅了していく。使いまわされた言葉で表現するなら「フロアがクラブと化す」状態。ただただボルテージが引き上げられてしまうステージを目の当たりにして、オーディエンスが生み出す歓声とジャンプがフロアを激しく揺らす。

一方、ゴールドのオーラを振りまくように長い髪に両手の指を通してハラリと空気を含ませると、ダンサーからキャンディを受け取ってウインクを客席に投げる。そんな雅ちゃんから始まった、ライブ初披露の「LOVE CANDY」。3人とダンサーズは、椅子を使ったパフォーマンスで700人の視線を釘付けにしていく。いや、厳密に言うと、すでに視線は釘付けだったのだが、まばたきをする瞬間も惜しいほどの状態にまで到達させてしまう。なお、雅ちゃんの足元は問答無用の黒のロングブーツ。それは最強×最強の掛け算。つまり最強。当たり前の計算式を目の前で提示されたかのような気分である。

さらに小林と二瓶がステージに残り、カバー曲コーナーに。ここで披露されたのは、PINK CRES.に「fun fun fun」「Tell me why」「LOVE CANDY」「Summer wonderland」といった楽曲を提供し、グループのサウンドプロデューサー的な立場でもあるYUCCOが所属するPLATINUM楽曲の数々。PINK CRES.を最初から見てきたファンならわかるように、今回の1stワンマンライブで特徴的だったのは、小林と二瓶のスキルアップ。もちろんこれは本人の努力なしでは成し遂げることができわけだが、一方で、PINK CRES.のサウンド面をサポートするYUCCOの存在も決して小さくはないだろう。

なお、同コーナーでは、雅ちゃん曰く「PINK CRES.の“お姉ちゃん”」でもあるキーパーソン、YUCCOもゲストとして登場。YUCCOは「キレイ・カワイイ・ミライ」で耳にすることができる“「Baby Girl」の発音についてのこだわり”をはじめとした、レコーディング中に見せた雅ちゃんの飽くなき探究心と向上心、そして本番では確実にリハーサルを超えてくる圧倒的プロ意識を紹介して会場を感心と大きな感動に包み込む。本人は照れ隠しにYUCCOや観客から笑いを取ろうとするが、その長いまつげの奥、エメラルドのような輝きの瞳がほのかに潤んでいるように見えたのは、ステージを照らすライトが眩しすぎたから……ということにしておこう。

「今日ワンマンライブができたのは、みんなのおかげだよ! ありがとう!」

本編ラストナンバーは、アルバムでもラストを飾った「Summer Wonderland」。PINK CRES.の夏をしっかりと感じさせるチューンに会場はタオルを振って大盛り上がり。この新しいグループが生み出したクリエイティブと眩いばかりの煌めきに、会場の誰もが心を奪われていたのだった。

 

「今日はちょっと、ふたりに手紙を書いたの。」

客席からのアンコールを求める「ピンク!(クレス!)」の声に背中を押されるように再びステージへと姿を見せたPINK CRES.。二瓶と小林は、オーディションから今日の日までの活動を振り返る。

「なんか、私、20歳になるまでこの世界に入ってなかったので、歌って踊ったりとか、舞台に立つ人たちにずっと憧れを抱いてきたので、1年前の今日だったら自分が今ここにいることが絶対信じられないし、2年前なんて全然ありえないし。って思うと、人生何が起きるかわからないなって。だからこそ、みなさんに出会えたことも、観に来てくれる家族やお友達がいることも、ほんとに奇跡。奇跡だなって思いました。もちろん、みやちゃんを知らなかったらここには絶対ここにはいなかったし。みやちゃんがBerryz工房さんじゃなかったら、自分は今、ここにいないし。しかも、同期がひかるで。PINK CRES.って、なんか、不思議だなって思いました。自分がここにいることも不思議なんだけど、ひとつひとつの出会いをちゃんと大切にしたいなって思います。個人としては、PINK CRES.のメンバーが“にへ”でよかったね、って言われるように、これからの出会いも大切にしていきたいなって思います。」── 二瓶有加

「1年半くらい前ですかね、二瓶と小林がオーディションに受かったのは。映像とかでも観てくれる人もいるかもしれないですけど、「なんでこんなポンコツ野郎が受かったんだろう」みたいな(笑)。思った人もいると思うんです。私も映像を観て、結構ひどいなって。スタッフさんにも「小林は体が硬すぎて、人間じゃなくて木だろ。」って。でもそんな私が歌って踊って、人間なんで(大歓声)。私にみなさんすごい優しい言葉をかけてくださって、「歌声好きだよ」とか「ラップかっこいいね」とか。それがすごい原動力になってます。みやちゃんに出会えて、リーダーがみやちゃんでよかったなって思うし。一緒に入った同期が、性格とか真反対で、最初どうなるのかと思ったんですけど、リハとか積み重ねていくうちに、やっぱ“にへ”で良かったなって思うし。私たちを優しく包み込んでくれるみやちゃんがいて、本当にこのメンバーに入れてよかったなって思うし、3人のPINK CRES.をもっとたくさんの人に知ってもらいたいですし、みなさんにもっともっと愛されるグループになりたいなと思っています。」── 小林ひかる

「みなさんライブ、楽しかったですか? PINK CRES.大好きになりましたか? みやは、Berryz工房、Buono!といろんな活動をさせてもらって、ハロー!プロジェクトキッズの頃から数えると、今年で15周年を迎えまして。15周年ってすごいなってあらためて思って。考えてみたら、私の人生は、半分、ハロプロだって思って。大きな会場でライブができたり……。いろんな人と出会って、すごい素敵な経験をさせてもらって、だからこそ、ハロプロを卒業ってなった後に、正直、不安な気持ちが大きくて。私、どうしていこうかなって思った時に、やっぱり歌は好きだし、ステージに立つのは大好きだから、その思いはあきらめたくないなって思って。で、いろんな方に相談をしたら、「夏焼 雅 新グループオーディション スタート!」みたいな、開催がきまって。「よっしゃー!」って思って。オーディションやらせてもらえるんだ、すごい嬉しいって。そこから2回目のオーディションをやらせてもらって、活動するまでに時間がかかったから、大丈夫かな、早く活動したいけど、どんなふうになるんだろうって不安だったけど、こうやって、素敵なメンバーに出会えたから本当によかったなって思います。ほんと、ワンマンライブできて嬉しくて、でね、今日はちょっと、ふたりに手紙を書いたの。」── 夏焼 雅

雅ちゃんは、二瓶と小林が驚きの声を挙げる中で、サプライズとして用意しておいた、ふたりへの手紙を読み上げる。

「ひかるへ いつもはおっとりしているけど、やるとなったら本当に真面目で頑張りやさんなひかる。歌もダンスも……ちょっと待って(涙をこらえる)。歌もダンスも、ゼロからスタートだったのに、1年でここまで成長できたのは、本当にすごいことだと思うし、大変だったと思う。……はあ。なんで私も泣くの?(会場爆笑) ひかるの努力には、いつも感心させられています。みやは、ひかるの笑顔が、とってもとっても好きだから、これからもたくさんの笑顔を見せてください。天然で可愛いひかるが大好きだよ。みやより。」

「にへちゃんへ 一番年下だけど、とても頼りになるにへ。負けず嫌いなところが、みやと似ているなって思います。お仕事と大学との両立で時間がない中、ダンスの振り付けを考えてくれたり、大変なこともたくさんあったと思うけど、それでも嫌な顔をせず、しっかりこなしてくれるにへは、本当にすごいなって思います。強がりなにへだけど、もっと、みやに甘えていいぞぉ~?(会場興奮) いつも明るく元気で可愛いにへが、大好き。みやより。」

泣いているふたりに対して、雅ちゃんも涙まじりに読み上げる。大人になって、雅ちゃんの涙腺が弱くなったことは誰もが知っての通り。そんな雅ちゃんが、ふたりに宛てた手紙を読むというのだから、この展開は目に見えて明らかだった。

そして雅ちゃんは、「初めてメンバーに手紙を書いたかも……。」と、往年のファンをざわつかせるような発言で軽く笑いをとったのち、「やっぱり、こんなリーダーですけど、しっかりふたりにはついてきてほしいなって思うし、かっこいい姿を見せたいなって気持ちが強いので、そこはこういうステージで見せることができたらいいなって思います。そしてこれから、やっぱりいろんなところでPINK CRES.のワンマンライブがたくさんできればいいなって思っていますので、みなさん、これからもPINK CRES.の応援、よろしくお願いします。今日は本当に本当に、最高の時間をありがとうございました。夏焼 雅でした!」と締めくくる。

さらに、「……いやー、私、本当に私、ふたりと出会えてよかったわ。」と、小林と二瓶に微笑みを投げかけると、オーディションでメンバーが決定した瞬間を思い出させるかのように、ふたりを抱きしめたのだった。

 

それもまた雅ちゃんなんだから、これはもうしょうがない。

アンコールの最後に披露されたのは、アルバムのリード曲であり、3人それぞれのこれまでの道のりをも歌詞に落とし込んだ「キレイ・カワイ・ミライ」。ポジティブにカラフルに歌い舞う3人にオーディエンスは大熱狂。これ以上ない盛り上がりの中でアンコールは終了する。

しかし、ここでさらに観客の、しかも女の子たちから再びPINK CRES.を求める「ピンク!(クレス!)」の声が。もう一度ステージに出てきた雅ちゃんは、「ダブルアンコールありがとうございます。でもね、私たち、持ち曲がね……9曲なんですよ。」と、困った表情を浮かべてみせる。もっともこういう場合、「ダブルアンコールが起きた時にはこの曲」と、すでに決まっているものである。にも関わらず、わざと困った表情をして観客を困らせてみようなんていう雅ちゃんの魂胆。まあしかし、それもまた雅ちゃんなんだから、これはもうしょうがない。

そして再び「fun fun fun」を披露。メンバーとオーディエンスによる、これ以上ないほどのハッピーなオーラに包まれて、雅ちゃんの70億分の1の奇跡とすら思えるとびきりの笑顔とともに、ライブは幕を下ろしたのだった。

「今日来てくれて本当にどうもありがとうございました。またみんなに絶対会いたいから、もっともっと成長して、素敵なライブをしたいなって思います。PINK CRES.でした! みんなまた絶対会おうね!」

◆  ◆  ◆

ところでライブ中、「すごいんだよ! インスタグラムって!! 私、こんなにすごいと思わなかったんだけど!」と、目を輝かせて語っていた雅ちゃん。「なんと、スヌーピーと、私……コラボすることになりました! すごい嬉しくて!! スヌーピーのバックを作らせてもらって、めっちゃくちゃ可愛いの! やばいよ!」と、“世界的にすごい方”スヌーピーとのコラボをとても嬉しそうに話す。

ViVigirlとしての活動を含めて、ずっと夢だったファッションの仕事ができること。ステージで歌って踊っていること。そんな雅ちゃんの日々が充実している様子が本人の口から語られたこと。これらすべては、何よりもずっと夏焼 雅を見てきたファンにとって、この上ない喜びだったはず。

そして同時に僕らは、雅ちゃんを再びステージへと戻してくれた小林ひかると二瓶有加には感謝してもしきれない。

そんなことを思ったPINK CRES.の1stワンマンライブだった。

◆PINK CRES. オフィシャルサイト
◆夏焼 雅 Twitter
◆小林ひかる Twitter
◆二瓶有加 Twitter

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