元チキパ鈴木姉妹のROSE A REAL始動

『鈴木友梨耶・鈴木真梨耶 Love & Thank you -Welcome to Home Party-』にて

Yuriya Suzuki and her sister Mariya, ex-members of Cheeky Parade, announced they have formed a new group “ROSE A REAL”.
Their birthday concert was held on September 8th, and the group was revealed with new visuals and new songs.
Unfortunately, their next concert schedule is yet to be announced.


元Cheeky Paradeの鈴木友梨耶と鈴木真梨耶が9月8日に合同イベントを開催し、姉妹ユニット・ROSE A REAL(ロザリオ)の始動を発表した。

チキパ解散後、舞台ではひと足早く姉妹共演があったが、ライブイベントはというと、『鈴木友梨耶・鈴木真梨耶 Love & Thank you -Welcome to Home Party-』と題されたこの日のイベントが初めて。もっとも、ふたりにとって姉妹で活動することはチキパ時代から夢のひとつとして掲げていることであり、ファンは、たった1日とはいえ、その夢が初めて叶う瞬間を共有しようと、会場となった新大久保にあるR’sアートコート(労音大久保会館)に足を運んだ。

 

We are sister S

会場が暗転して、ファンにとっては聞き慣れないイントロとともに友梨耶と真梨耶がステージインしてくる。攻撃的なビートにディストーション全開のギターが絡むその曲とは、2009年に倖田來未とmisonoが初コラボレーション作品として発表した「It’s all Love!」。ある意味、(特に友梨耶は昔から名前を挙げるほど)尊敬する先輩の“倖田姉妹”が7年の構想期間を経て実現したコラボ曲を、初ステージの1曲目に持ってくる鈴木姉妹。「We are sister S」などなど歌詞の一部を変えて、息の合ったハモリとパワフルな歌声を冒頭から聴かせた。

「すっごい緊張する!」

「わかるー!」

「今日ですね、楽屋がすぐそこなんですけど、歌の練習するとみなさんに聴こえると思って、タオルで口を押さえてトイレのこもってふたりで練習したんですけど……全然笑わなしゃしゃしゃしゃ……お姉ちゃんしゃべってお姉ちゃんしゃべって! (お客さん)全然笑ってくれなかった。」

「何言ってるのかよくわからない……。でも本当に、真梨耶は2年間ロサンゼルスに行って、解散ライブが最後だったわけですよ。で、解散してからの次のライブがこれですよ。どうですか?」

伝えたいことをとにかく勢いだけで伝えようとしてさっそく空回りする真梨耶に、落ち着きを払って、真梨耶が話しやすいようにパスを出す友梨耶。本来、姉だろうが妹だろうが遠慮は必要ない(むしろ遠慮などしていては共倒れになる)エンターテインメントの世界ではあるものの、この日は『-Welcome to Home Party-』とサブタイトルにもあるように、鈴木家の日常を見ているようなMCが繰り広げられていく(ちなみに余談だが、鈴木真梨耶の所属事務所のプロフィールには「高いコミュニケーション能力を持ち」と書かれていることをここで紹介しておきたい)。

「今日ちょっと、いろいろ練習してきたんで、さっそくね、やるか。」

気がつけば、これまでのチキパのライブではあまり見られなかった光景がステージ上には広がっていた。スタンドに立てかけられているアコースティック・ギター、そして上手側にセッティングされているキーボード。かといってバンドかというと、それぞれの楽器のそばにプレイヤーの姿はない。

友梨耶はアコースティック・ギターを抱える。一方の真梨耶はキーボードの前に座る。聞き慣れたピアノの旋律を真梨耶が奏で、友梨耶が歌い始めたのは「CANDY POP GALAXY BOMB !!」そして「Answer」。ふたりが弾き語りで披露したのはワンコーラスにも満たないものだったが、それはまるで昔の人たちが大海原に乗り出す際に目印とした北極星のように、ふたりのこれからの針路を示すかのようにも映った。

さらに、「Hands up!」「Shout along!」「Jumper Jumper」と、チキパ後期に発表された攻撃的なサウンドが次々飛び出して、会場も総立ちのクラップとコールで盛り上がる。一方で、ピアノアレンジの「SUPERSTAR」では、ふたりがフレーズをメロディーにひとつひとつ乗せていくように気持ちを込めて歌い上げる。

所属事務所のサイトを見る限り、メンバーのうち、引き続き音楽活動をメインに活動することを選択したのは、鈴木姉妹とHina(永井日菜)と山本真凜と推測される。Hinaと山本真凜がどのような形で音楽活動を行なっていくかは今後明らかになっていくと思われるが、過去の楽曲を引き継ぐのが、歌唱面での中核を担ったひとりであり、後期はリーダーとしてグループを引っ張った友梨耶と、グループのアイコン的存在だった真梨耶の鈴木姉妹ならば納得といったところだ。

「それでは、そう、行きますので。私が今日、一番緊張している、これ。……ねえ、もうちょっと笑ってくれてもいいじゃん! ……みなさん『Together』知ってますか? あっ。『Together』大好きなんです。だからちょっと、アレンジしてみました。『Together』大事な曲なので、ちょっとアレンジしてでも、みなさんと、これからも、歌いたいなって思って。」

「……ちょっと意味がわからない。」

相変わらず空回りし続ける真梨耶に、冷静なツッコミを入れる友梨耶。そして(珍しく)(友梨耶のツッコミで)笑いが起こって披露されたのが、チキパで真梨耶がメインボーカルをとった「Together」。バラードアレンジという新しい服が着せられたこの曲に、ふたりはアコースティック・ギターのストロークと想いを重ねて歌う。様々な事情もあって、なかなか歌うことができなかったこの曲も、鈴木姉妹の手によって息を吹き返した。

ここでふたりのソロコーナーに突入していく。客席を巻き込んで元気いっぱいに真梨耶が披露したのは、PRINCESS PRINCESSの「Diamonds」。一方で、友梨耶が振り向きざまのポーズからクールに披露したのは、山口百恵「プレイバック Part2」。ちなみに「Diamonds」がリリースされたのは1989年で「プレイバック Part2」に至っては1978年。もちろんどちらも本人たちが生まれる前の楽曲であり、なぜこの曲をふたりは歌えるのかと考えてみると、もしかしたらこのコーナー、『Home Party』のサブタイトルどおり、鈴木家でカラオケに行ったときに両親からリクエストされてふたりが歌う曲を選曲したのではないだろうか。

 

ベールを脱ぐ“ROSE A REAL”

ソロコーナーが終わると、映像がスタート。今回の『鈴木友梨耶・鈴木真梨耶 Love & Thank you -Welcome to Home Party-』のグッズなどに記されていたフレーズ“ROSE A REAL”の謎が明かされる。

チキパサウンドとは傾向が異なるメロディーラインと言葉が並ぶ中で、暗闇の向こう側、ふたりが着た赤いワンピースの裾が揺れる。初披露された「La La LOVE」というオリジナル曲は、友梨耶が作詞、真梨耶が作曲した1曲。歌唱後には友梨耶から「私たち、これから“ROSE A REAL”と書いて“ロザリオ”として活動することになりました!」と、姉妹ユニットの発表が行なわれ、会場からは驚きと喜びの拍手が起こっていた。

ROSE A REAL(ロザリオ)は、鈴木姉妹のセルフプロデュースによるユニット。クリエイティブなど本人たちの考え、意見が全面的に取り入れられているようである(現に、終演後に明らかになったアーティストビジュアルでは、スタイリングなどは言うまでもなく、ポージングの指の形に至るまで、ふたりのイメージに合わせて指示どおりに撮影を行なった。……撮った本人が言うのだから、これは紛れもない事実である)。

ROSE A REALでは洋楽やカバーも歌っていくと語ったふたりは、さっそくT.M.Revolution×水樹奈々「Preserved Roses」や、ケリー・クラークソン「Because of you」などをエモーショナルに歌い、観客を純粋に歌で楽しませてステージを降りた。

 

「これからね、姉妹で一生懸命頑張って夢を叶えるので、ついてきてくれると嬉しいです。」

会場からのアンコールを受けて、再び映像がスタート。そしてふたりはもう一度ステージへと登場する。しかも流れてきたイントロは、オリジナルバージョンの「Together」。一気に客席が沸き上がる中で、真梨耶は「2年ぶりだからね! みんな期待して!」と、煽って「はいはーい」から始まる“あのフレーズ”へと突入していく。

ところが、下から登場したのは真梨耶ではなく友梨耶。わざと被るように真梨耶の前に立った友梨耶は「はいはーい! 下からユリヤの登場です」と、真梨耶の魅せ場を奪っていく。まさかの展開に、宇宙のサーカスばりにびっくりさせて魅せつけられてしまった真梨耶は、友梨耶からの「『不可能』ってなんですか?」のフレーズに「やめて!」と一言。そんなやりとりに観客の笑いは止まらない。

「Together」の見どころ、聴きどころといえば、メンバーひとりひとりが担当したコール・アンド・レスポンスのパート。7人編成時には留学中のふたりのパートをみんなで受け持ってこの曲を披露したこともあったが、5人編成だと半分近くがその形を取らざるを得ないため、自然とこの曲の披露自体が減っていた。

真梨耶は「いやー、これも2年ぶりだね! ちょっとみんな、声出していきますよ!」と嬉しそうに客席を眺める。その様子から“封印が解かれる”ことを悟った観客は、驚きの声を上げる。そしてついに「まりゃっほ〜 *\(^o^)/*」とコール・アンド・レスポンスがスタート。観客も真梨耶に合わせて「まりゃっほ〜 *\(^o^)/*」とコールを返す。

次は友梨耶の「ガルルルルΨ」が当然来る……かと思いきや、「もっと、まりゃっほ〜 *\(^o^)/*」と、今度は真梨耶が華麗にパートを奪っていく。観客もつられて「まりゃっほ〜 *\(^o^)/*」と返すしかない。その後も真梨耶は「まり、やほ〜 *\(^o^)/*」だの「まりやほね☆」だの「まりやほchuン」だの「やっぱまりやほだなー」だの「まっまっまっまりや☆うぇーい」だの「まりややねん」だのと、見事なまでに独壇場。そして最後に「ほっ!」なる謎の言葉(音?)を放ち、友梨耶を含む会場を笑わせて、この“最高のパレード”を締めくくった。

そしてふたりは、先ほど初披露したオリジナル曲「La La LOVE」を再び披露して、客席にROSE A REALをしっかりと印象づける。ふたりの新しいスタートに、観客からは惜しみない拍手が送られていた。

「この曲で最後だと思っている、私たちのお父さん、お母さん。後ろの席から手紙を取ってください。」

「椅子の裏に貼ってあります。」

歌い終わって、ふたりは客席に向かって呼びかける。そう、ROSE A REALのお披露目となったこの日のライブには、彼女たちが愛する家族の姿もあった。そこでふたりは、ふたりで歩み始めるこの日のために、「こんな私を愛してくれて、支えてくれてありがとう。」と、両親への感謝の気持ちを込めた曲「Thank you」を秘密裏に作っていたのだった。

「いや、本当にわがままな私たちなんですけども、こうやって支えてくれるお父さんお母さんだったり、みなさんがいるおかげで、解散してどうなるかなって思ったけど、こんなに早く、またみなさんの前で歌えて、本当にみなさんのおかげです。ありがとうございます。」

「いやー、悔しいな。パパとママを泣かせるつもりが、まあママはすぐ泣くからいいけど、パパは泣かないのね。パパ全然泣かないし、なんかまりがめっちゃ……泣きたくなっちゃう。でも、私たち、最高のパパとママから生まれたんです。だから、みなさんがついてきてくれるような夢を叶えたいし、弟とも夢を叶えていきたいし。これからも、みなさんの応援が必要です。だから、これからも応援してくれたら嬉しいです。」

 

終演後、客席からも明るい声が聞こえてくるほど、鈴木家の家族愛に溢れた姉妹の合同&ROSE A REALお披露目イベント。会場のキャパと、今回のコンセプトだからこそ成立した内輪ネタだといえばそうではある。とはいえ、ふたりの証言をもって間接的にしか触れることができなかった家族への愛情を、今回、目の当たりにして、誰もが幸せな気持ちになったことだろう。だとすると、これは彼女たちが我々に提供してくれた、そして彼女たちにしか提供できない立派なエンターテインメントである。

そして我々は、鈴木姉妹の新たな門出を前に思わずにはいられない。

どんなに綿密な計画を立てても、どこにたどり着くかはわからない。それだからこそ人生は面白い。ファンの間で、真梨耶たちの2年のロサンゼルス留学に賛否両論があったのは否定し難い事実である。だがしかし、結果、様々な出来事を経て、友梨耶と真梨耶は、その夢のひとつだった姉妹での活動をスタートさせることができた。逆を言えば、留学がなかったなら、グループが順風満帆だったなら、この夢からは遠ざかっていたかもしれない。

結局のところ、過去を肯定することができるのは、未来の自分たちだけ。そして残念なことに、いまだに心のどこかにしこりのようなものを抱えたまま、力づくで納得した顔をしながらも立ち止まったままの、あの頃のファンは数多くいる。

そのひとりひとりに、過去の活動を、本当の意味でハッピーエンドとして残すことができるか。それは、ROSE A REALのふたりの、そしてTHE GREATEST NINE9’のこれから次第。彼女たちのこれからにかかっている。

◆YuRiya♡† ROSE A REAL Twitter
◆MaRiya☆† ROSE A REAL† Twitter

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