吉川友、2022年は「きっかちゃんらしい」をなくしたい

『吉川友 10th Anniversary LIVE 2021の秋きっか』

『吉川友 10th Anniversary LIVE 2021の秋きっか』が11月21日に表参道GROUNDにて開催された。

 

昨今では個人配信のほうでも積極的に活動を展開している吉川友にとって、ワンマンライブは8月1日に浴衣姿で行なった『夏きっか』以来。もちろんこの期間にライブイベントへの出演はあったものの、自身のステージ、自身のライブというのは実に3ヶ月ぶりだ。

 

今回のライブは、昨今すっかりきっかバンドのレギュラーメンバーとなっているベース・有島コレスケがスケジュールの都合で欠席。代わりに今のきっかバンドの形を作り上げた、きっかバンドの初期(いつからが初期なのかは不明だが)メンバーであり、映画『あの頃。』の原作者であり、ハロヲタ界の松坂桃李と呼ばれている……かは、少なくとも私は聞いたことがないが、ともかく劔樹人が久しぶりのきっかバンドのベーシストとして参加した。

 

■吉川友が黒髪に。「今後の人生で二度とすることはない。」

 

黒のトップスとシースルーのスカートを身に着けて、撮影のために髪を黒色に戻したきっかが、ステージ中央のポジションにつく。ライブは、中島卓偉が提供した最新曲「どんな時も笑顔で」からスタート。さらに「チャーミング勝負世代」を並べ、冒頭からパワフル&疾走感溢れる展開でオーディエンスを惹きつけていく。

 

吉川友 10th Anniversary LIVE 2021の秋きっか

「私、変わったのわかります? 髪の毛、真っ黒にしたの。清純派。こうして、髪を真っ黒にして表の舞台に立つの、6年ぶりくらいかな。この真っ黒は撮影用で、撮影終わったら金髪とかにしようと思うんですけど。だから黒は見納めです。もう今後の人生で二度とすることはない。そのくらい私は黒髪が嫌なの。でも、私がデビュー当時にお世話になっていたレコード会社のスタッフさんが『黒髪以外は女じゃない。』という名言(?)を残したことがあって。私、今、女になってる(笑)」

 

脱・黒髪を高らかに宣言して、「ときめいたのにスルー」「さよならスタンダード」という大森靖子提供の独特の世界観を持つ楽曲を続けて披露。そして吉川友のタオル曲「水色」へ。ビフォーコロナのライブでは、この曲を演るとマイクロファイバータオルがフロアのそこかしこで振り回される光景を目にすることができた。しかしウィズコロナの時代になって、一旦ライブの開催自体が難しくなり、また着席でのライブがスタンダードになったあたりから、この曲のような観客参加型の楽曲が陽の目を見る機会は減少してきた。

 

吉川友「水色」

「『水色』って曲はデビュー当時から歌っているんですけど、私の楽曲の中で唯一タオルを使う曲なんですよ。まあ、今、物販でタオルを置いていないから回せないし、あとこの曲が久しぶりすぎて、タオルの準備できてなかったでしょ? 大丈夫だよ。なんなら、相当この曲歌ってないんだろうなぁ、というのがさっきわかったんです。(私の)マネージャーさんとかも異動とかあって、この曲が初めてなのかわからないけど、リハの時にこの曲を演りながら「あ、タオルが必要な曲だ」と思ったんです。だから「『水色』のタオルください。」ってマネージャーさんに言ったら、コンビニで水色のタオルを買ってきたの。「いや、そういうことじゃないんですけど……」って(笑)。黄色のタオルも買ってきてもらったんですけど、でもそのくらい久しぶりにこの曲を演るんだな、って思いました。みなさん覚えておいてください。『水色』ではタオルを使います。」

 

漫談家のような軽快なトークで、声出し禁止の会場で笑いをとっていく吉川友。確かにこの数年、マネジメント体制が変わったことで発生したユニークな出来事であり、夜公演では、その買ってきてもらった水色のタオルを「水色」の曲中に振り回すきっかであった。

吉川友と劔樹人

 

■「きっかちゃんらしい」をなくしたい

 

さらに吉川友は、先日、インフルエンザのワクチンを接種しにランニングウェアで行ったことや、友人の子供たちとお台場の『うんこミュージアム』に行ったこと、そしてこれら話を聞いた人たちから、どちらも「きっかちゃんらしいね」と言われたというエピソードを明かす。そしてきっかは、2022年は周りから「きっかちゃんらしい」と言われることを改善していきたいと語った。

 

「今、黒髪だし、来年は清純派で売っていこうかなって。どうやったら清純派で売っていけるのかなって考えた結果、もしかしたら来年のライブは、MC一切なし。だってしゃべらなければいいんだもん。しゃべらないライブは今までしたことないから、そのぶん、みなさんは今より3、4曲多く曲が聞けるかもしれない。だから、来年は無表情、流し目のライブをするかもしれません。ありかな、って私は思ってる。」

 

吉川友 10th Anniversary LIVE 2021の秋きっか

発想が極端すぎるのは、いかにも“きっかちゃんらしい”ところだ。

 

■ツアーは吉川友の運転で。車は経費で

 

スツールに腰を下ろしてのバラードコーナーでは、「運命」「Knight Fight」「冬空花火」が披露される。ステージ上をシックに照らす照明と、黒髪になった吉川友が伏し目がちに歌い上げていくコントラストが艶っぽさを演出し、YU-Mエンターテインメントの歌姫として、大人のオンナ感を漂わせるステージングで観客を魅了していた。

 

再びアッパーな楽曲で攻めていく後半戦。オーディエンスの五感を煽るような「URAHARAテンプテーション」がフロアを揺らせば、観客が手にするサイリウムの動きも激しさを増す。オータケコーハンのスリリングなギターを伴っての「Make YOU!」に、リズム隊のタイトなグルーヴの「恋」がつながる頃には、客席は心地よい音に体をあずける。そしてハッピーな「NEO SUGAR SUGAR YOU」にて、誰からも笑顔が溢れる。

 

「今年デビュー10周年ですけど、こういう状況下でもあり、早くコロナが落ち着けば、ツアーとかできたらなって思います。でもツアーってお金かかるじゃないですか。会場費はともかく、交通費。で、思ったの。私、今、免許とってんだ。で、今月末に路上(講習がスタート)。……やばいっしょ? でも私、多分、次にみんなに会う時には胸張って免許証を見せていると思うんだけど。だからツアーは、私がバスとか運転して……(「バスは大型免許とらないと無理!」と劔からツッコまれ)……あ、そういうこと? それもだめなの? 大型二輪もとったほうがいいのかー。あ、四輪(※正しくは「大型自動車免許」)? でも私が免許とったら、バンドメンバーさんと眠くなったら交代で運転していけばいいかもしれない。で、私、車も欲しいのよ。だからそれは事務所に経費で買ってもらえれば。駐車代は私が出すから、車は経費で買ってもらったら、ライブもできて運転もできて、車ももらえるという。私的には一石二鳥かな、と。」

 

吉川友の運転による全国ツアーの実施という野望を口にする吉川友。なお、経費で車を購入するという彼女の狙いは、夜公演での「吉川友の給料から天引き」という事務所社長からの逆提案によって脆くも崩れ去るのである。

 

吉川友

そして本公演のラストは、デビュー10周年の吉川友が、あの頃と同じ黒髪で歌う「きっかけはYOU!」。以前に同曲を披露した際にも記述したかもしれないが、デビュー当時にはデビュー当時のよさがあり、今には今のよさがある。

 

そして何より、10年の時を経てもステージでデビュー曲を歌っていてくれることは奇跡のようなものであり、感謝でしかない。

 

吉川友,きっかバンド

吉川友,きっかバンド

「さっき言った、『免許とってみんなのところライブしに行くよ』っていうの。本気で考えているので、楽しみにしていてください。大型もとっちゃおうかな、練習して。2個どりしちゃおうかな。やればできる子なんで。」

 

そんな言葉を残して昼公演のステージを降りた吉川友。なお、いくら彼女が“やればできる子”でも、普通免許と大型免許は2個どりはできないのである。

※ 大型免許の受験資格は「年齢21歳以上で中型免許、普通免許、大型特殊免許のいずれかを取得しており、かつ、その免許を受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く)が通算して3年以上の方」。

 

吉川友 10th Anniversary LIVE 2021の秋きっか

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