いぎなり東北産がパシフィコ横浜前哨戦ライブ。「もう攻める以外の選択肢はなしです!」

いぎなり東北産がパシフィコ横浜前哨戦ライブ。「もう攻める以外の選択肢はなしです!」 オリジナル ライブレポ

悲願の年末パシフィコ横浜単独公演ソールドアウトに燃えるいぎなり東北産。彼女たちが、その前哨戦と位置づけたホール公演『東京ワンマンライブ 〜年末への前哨戦〜』を、7月26日にかつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホールにて行なった。学生は夏休みとはいえ、世間的には平日の金曜日。にも関わらず、2部制で行なわれたこの日の公演は、両部ともにチケットは完売。先日行なった彼女たち初の日比谷野音フリーライブでの大盛況っぷりとともに、今のいぎなり東北産の勢い、注目度、そして動員力をしっかりと見せつけたライブとなった。

こちら葛飾区パシフィコ公演前夏祭り

いぎなり東北産『東京ワンマンライブ 〜年末への前哨戦〜』

開演時間を少し過ぎ、暗転した会場に、いぎなり東北産のライブイベントではおなじみの出囃子が鳴り響く。ステージを覆っていた緞帳が少しずつ上がり、カラフルな光が暗転した客席側へと溢れ出してくる。そして、幕が上がってステージセットが少しずつ明らかになっていく瞬間、観客誰もがこれから始まるライブを想像してわくわくを覚えたことだろう。スイカやアイスクリーム、メロンソーダなど夏っぽくもあり、パステルカラーで女の子っぽくもあるモチーフが散りばめられているものの、目の前にあるそれは、間違いなくお祭りで設置される櫓(やぐら)。しかも中央には、これまたカラフルな太鼓が鎮座して、いぎなり提灯が櫓の周りを彩っている。これはまさしくにっぽんの夏、いぎなりの夏。月初に彼女たちは山形県にあるリナワールドでグループ結成9周年の水ぶっかけ祭りを行なったが、月末のこちらは葛飾区パシフィコ公演前夏祭りだ(まあ、パシフィコ公演“前”と言うには、同公演の開催は12月なので前すぎるのだけど)。

いぎなり東北産『東京ワンマンライブ 〜年末への前哨戦〜』

(太鼓を叩く)バチを手に、櫓の上でポーズをとるいぎなり東北産の9人。花火をイメージし、スカートにメンバーカラーの反対色を差し色として入れているのがポイントだという新衣装に身を包んだ彼女たちが、円陣を組むようにひとりずつ自分の名前を叫ぶ。そして、早くも興奮と歓喜が混ざり合う観客の声に応えるように、1曲目「東京アレルギー」は櫓の上からスタートさせた。しかしながら、葛飾区といえば東京の下町。そんな場所で行なった公演で最初に披露したのが、東京には絶対負けるわけにはいかないという決意を高らかに歌い上げるこの曲。

いぎなり東北産、よく考えるとなんともロックである。

いぎなり東北産『東京ワンマンライブ 〜年末への前哨戦〜』

「テキーナ」「服を着て、恋したい」での嬉しいサプライズ

吉瀬真珠

コンセプトが夏祭りということで、「おのぼりガール」「テキーナ」と、いぎなり東北産の中でもハッピーに盛り上がる曲が序盤に並べられる。とりわけ、お祭り騒ぎな空気を作り出したのは「テキーナ」。この曲では、橘花怜を始めとしてみんなが注目しているポイントは、吉瀬真珠の「大好き!」の台詞。彼女が毎回アドリブを追加して放つ「大好き!」の一言には、ステージ上だろうが客席だろうが関係なく悶絶する人が続出する。しかし今回、「あのね、あなたのことが……大好き! だから今日は……会いに行っちゃいまーす!」という吉瀬の言葉を合図に、メンバーはステージを降りて客席へとなだれ込む。メンバーは縦に長いシューボックス型ホールの一番後ろまで、歓喜する客席の間をすり抜けると、何人かはそのまま後方扉の向こう側へと姿を消す。

次の曲として、撮影可能曲にも指定されている「服を着て、恋したい」が始まった途端、律月ひかるら1階後方の扉の向こう側に消えたメンバーたちは、なんと2階客席の扉から姿を現す。そして彼女たちは、客席の通路をくまなく回りながら、手書きのメッセージが入ったカラーボールと幸せを観客に手渡していく。ホールで撮影可能曲を披露する場合、ステージ上でのパフォーマンスだと、(特にスマホのカメラでは)どうしてもメンバーを小さく写すことしかできない。ならば、メンバーのほうから近くに行き、この公演をそれぞれのカメラを使って思い出とともに記録してもらおう。そんな彼女たちの配慮は、特に1階で何か起こっているのか把握できなかった2階席の観客にとって、実に嬉しいサプライズになったはずだ。

「わざとあざとエキスパート」は、いぎなり夏祭りの盆踊り(?)

客席降臨を終えて、メンバーは「いぎなり魔曲」で急いでステージへと駆け込んでくる。客席も一体となってコール&レスポンスがホールを揺らす「ハイテンションサマー!」では、ソフトクリームを手にして歌い踊る彼女たちの後ろに降ろされた幕が、夏の日差しの中を吹き抜ける風もしくは寄せては返す波をかたどっていく。一方、ピンクを基調としたパステルなライトに染められながら披露した「わざとあざとエキスパート」では、観客をステージに視線釘付けにしつつ、ほとんどの人たちがステージ上の彼女たちと一緒に振りコピ。もしかしたら「わざとあざとエキスパート」は、いぎなり夏祭りにおける盆踊りなのかもしれない……なんてどうでもいいことを思わずにはいられない。

橘花怜「“絶対アイドル”で頑張ります!」

安杜羽加

「今日のるんちゃん、かわいいですかー? あっ、おかげさまでー。」── 律月ひかる

「みなさん今日は最高の夏にしましょう!」── 北美梨寧

「東北産の夏はいつも暑いと思うのですが、今年はワンマンライブということで、いつも以上に熱い日にしていけたらと思います。」── 葉月結菜

「今日サボった人! 平日の真っ昼間にこちらの推し事を選んでいただきありがとうございます。来たことを絶対後悔させません!」── 安杜羽加

「忘れられない夏にしましょう!」── 吉瀬真珠

「人生は一度きりで、大好きなみんなの笑顔をあと何回見れるかわからないので、今日は、明日も明後日もみんなが思い出して、笑顔になれるように“絶対アイドル”で頑張ります!」── 橘花怜

「お祭りとかけまして、リボンと解きます。その心は、どちらも「ぼん」がつくでしょう。」── 桜ひなの

「この会場の中で一番おもしろい自信があるので、みなさん、ライブを見ながら変顔してください。」── 藤谷美海

「みなさん骨になるくらい盛り上がれますか?一緒に骨になりましょう!燃え尽きるっていう意味でね。」── 伊達花彩

中盤に用意された最初のMCで、安杜羽加が「今日(仕事を)サボった人! 平日の真っ昼間にこちらの“推し事”を選んでいただきありがとうございます。来たことを絶対後悔させません!」と、男前な発言で会場を沸かせると、橘花怜の「人生は一度きりで、大好きなみんなの笑顔をあと何回見れるかわからないので……今日は、明日も明後日もみんなが思い出して、笑顔になれるように“絶対アイドル”で頑張ります!」という人生の真理にも触れる発言で客席をざわつかせる。一方、桜ひなのの「お祭りとかけまして、リボンと解きます。その心は、どちらも“ぼん”がつくでしょう……盆踊り!」という、唐突な謎かけには、別の意味で客席はざわつく。そして伊達花彩の「みなさん骨になるくらい盛り上がれますか? 一緒に骨になりましょう! 燃え尽きるっていう意味でね。」という挨拶には、言葉の意味はあまりよくわからないものの、結局、彼女の勢いに押されて歓声を上げてしまう。まあいずれにせよ、いぎなり東北産メンバーそれぞれの個性は、楽曲披露とは違った形でも会場を沸かせていた。

伊達花彩

いぎなり東北産「TOHOKUちゃんぷるー」初パフォーマンス

いぎなり東北産「TOHOKUちゃんぷるー」

夏は楽しさやパワフルさ、輝きといったイメージがある半面、切なさや寂しさといった顔も持ち合わせている。そこで、いぎなり東北産の夏祭りでは、そんな、夏のもうひとつの顔も表現してみせる。口火を切ったのは、事前アナウンスされていた「TOHOKUちゃんぷるー」の初パフォーマンスだ。

夕日のようなオレンジの照明に照らされて浮かび上がる彼女たちが、三線の音色に声を重ねる。4月にリリースされた3rd アルバム『東北産万博』収録曲の中で、唯一ライブで披露されたことがなかったこの曲。タイトルはもちろん、メロディーやアレンジ、そしてメンバーの振りにも沖縄テイストが存分に盛り込まれ、沖縄の陽気さを表現しつつ、同時に宴が終わった後の少しの切なさも感じさせる。そして何より、客席との「イーヤーサーサー(ハーイーヤー)」のコール&レスポンスはライブの一体感を生み出していた。

「今 ここで声を聞かせて」

いぎなり東北産がパシフィコ横浜前哨戦ライブ。「もう攻める以外の選択肢はなしです!」

夏の終わりの記憶を思い起こさせるような風鈴の音色を挟んで「おぼろ花火」が続く。イントロが流れ出した途端、ステージには夜の帳が下りたように星球が輝き出す。花火をイメージした衣装を纏い、満天の星空を仰ぎ見て、たおやかに曲の世界観を表現するいぎなり東北産。これまでのかわいさや元気さとは違った魅せ方に、オーディエンスは手元のペンライトをかすかに振りながらも、ステージから視線を外せなくなってしまう。そして昨年のパシフィコ横浜公演以来の披露となる「旅の途中」へ。あれから半年が過ぎ、いぎなり東北産の物語にも、またいくつか新しいページが書き加えられたものの、それでもやっぱりまだ旅の途中。幾千もの星に包まれて、メンバーは、これまでの出来事を思い出すように手を伸ばし、これからに向けた想いを力強く歌い描く。「今 ここで声を聞かせて」。彼女たちからのそんな声の響きに、観客は万雷の拍手と声援で応えたのだった。

客席圧倒からの「伊達サンバ」でいぎなり東北産の夏祭りは大団円

いぎなり東北産がパシフィコ横浜前哨戦ライブ。「もう攻める以外の選択肢はなしです!」

後半戦は、「Burnin’ Heart」から始まるメドレーで会場を燃え上がらせると、アイドルスマイルでキラキラに輝くいぎなり東北産を届けた「結び」。「天下一品 〜みちのく革命〜」で、興奮でテンション振り切れた観客からの地響きのようなコールを引き出せば、「沼れ!マイラバー」でかわいさもしっかりアピールする。そんな楽曲を次々に乱れ撃つことで、彼女たちは最後まで観客を圧倒し続ける。

そして1部の夏祭りは「伊達サンバ」で大団円を迎えた。お祭りうちわを手にしてステージを縦横無尽に動き回るメンバーのもとには神輿も担ぎ込まれ、そのまま再度みんなで客席を練り歩く。本来、祭りとは祈りの儀式。いぎなり東北産のもとに集まった観客ひとりひとりの笑顔と年末のリベンジライブ成功への祈りは、彼女たちが今抱えている、もしくはこれから抱えることになるであろう数々の不安を軽減させ、今後の自信につながるものとなるに違いない。最後、紙吹雪が舞い散るステージで櫓に登り、目を輝かせながら満員の客席を眺める9人の姿に、そんな確信を得ることができた前哨戦ライブだった。

いぎなり東北産がパシフィコ横浜前哨戦ライブ。「もう攻める以外の選択肢はなしです!」

パシフィコ横浜リベンジライブにむけての想い

さて、年末への前哨戦と銘打った公演ということで、ライブ後半に差し掛かるところで、メンバーは、リベンジとなるパシフィコ横浜公演にむけての想いをマイクに乗せた。「動員だけに囚われるんじゃなくて、醒めない夢を一緒に見れるようなライブにしたい。」と語ったのは律月ひかる。葉月結菜は、リベンジという言葉にあった違和感について「(失敗というネガティブな意味というよりも)ちゃんと100%成功達成していく。ごまかさないでやっていく。それが私たちいぎなり東北産のやり方」だと整理できたと話す。吉瀬真珠は「『負けたことがある』ということがいつか大きな財産になる」という『SLAM DUNK』の名言を引き合いに出し、「友情、努力、勝利」での団結を呼びかけると、リベンジは自分の目標である「みんなずっと一緒にいる。おばあちゃんになるまで一緒。」のため、そのための大事な場所を守る戦いだと決意を述べた桜ひなの(そして、1部の公演中のMCなのに「1回目より絶対2回目の方が東北産は上手くいく」と口を滑らせて、メンバー全員を慌てさせる)。最年少の伊達花彩は、感情が溢れ出てしまうのが抑えきれず、駆け寄ってきたメンバーたちに守られるように囲まれ、そして声を震わせながら「(リベンジだと)パシフィコは同じ会場だけど、ライブは同じものじゃないから……“来ない”っていう考えはやめてください。以上ですぅ!」と素直な気持ちをぶつける。

「るんちゃんがアイドルとしてしたいこと、やるべきだと思うことが、ライブに来てくださった目の前の人を幸せにすることなんですね。 だから、るんちゃんは正直、ファンのみなさんには集客の話……正直あんまり関係ないと思っていて。なんか、もちろんうちらもパシフィコのためにすごい頑張ってるし、みなさんも友達に布教してくれたりしていることをすごく知ってる。 「一緒に頑張ろう!」ってしてくれてるの、もちろん嬉しいし、すごくありがとうなんですけど、 私たちはやっぱりそこだけに囚われるんじゃなくて、目の前にいる人たちを楽しませて幸せにするライブをする。るんちゃんはやっぱり1番目指したいところがそこ。なのでパシフィコ横浜は、みんなと一緒に、 うちらも楽しいって思えて、みんなもすごい楽しいと思えるような、 醒めない夢を一緒に見れるようなライブにしたいです。頑張りまーす。」── 律月ひかる

「リベンジっていうことで、ちょっと正直な話、「パシフィコ横浜公演のリベンジを今年します。」ってスタッフさんに言われた時、「……まじかよ。」って思っちゃったんですね。なんだろう、見た目、まあまあ埋まってたし(笑)。なんか前回のパシフィコを失敗みたいにされるのがすごく嫌で。来てくれたみなさんにも申し訳ないなってめっちゃ思ってて。そもそも失敗じゃなかったって思ってるし。だったらなんかパシフィコと同じぐらいの規模で違う会場でやるでもいいんじゃない? ってすっごい最初は思って。だからモヤモヤしながら「リベンジします!」って言ってて、「(ふんっ!)」って思ってたんですよ。正直ね。そう。でもフリーイベントたくさんやってたり、なんかこう、みんなも「パシフィコリベンジのために頑張ろうね。」ってすごい声かけてくれたりだとか、そういうのを見て、私たちはやっぱりちゃんとそういうのを、リベンジとか……なんだろうな、 ちゃんと100%で成功達成していくというか。ごまかさないでやっていくのが私たちいぎなり東北産のやり方なんだなっていうのを、半年かけてやっと自分の中で整理できました。 なので、今年はパシフィコ横浜年末リベンジということで、去年も、とっても素敵な公演だったんですけど、今年はさらに満員のパシフィコ横浜+私たちのパフォーマンス力もさらに上がった状態でステージに立てたらいいなと思っています。みなさん一緒にパシフィコ横浜楽しみましょう。よろしくお願いします。」── 葉月結菜

「最近はほんとに暑い日が続いていて、 でもみんなはさ、いくら外が暑くても寒くても、勇気を持ってここに来てくださって。そんなひとりひとりのおかげで今日だって満員になったんですよ。本当にすごく感謝してます。今日発売されてる(コンサートグッズの)ゼッケンの裏面に書いたんですけど、私はいつでも心に少年漫画の気持ちを宿していて、 その少年漫画的には、なんか今こうやってメンバーとスタッフさんと、そして皆産と一緒になんか目標に向かって頑張ってるっていう今の状況が、ほんとにすごくすごく嬉しくて幸せなことです。だけどやっぱり少年漫画的には、目標は叶えなきゃいけないんですよね。パシフィコのリベンジは絶対に意味のあるものだと思ってて。そう「『負けたことがある』ということがいつか大きな財産になる」っていう『SLAM DUNK』の名言の通り、意味あることだったと思って、今年の年末、「友情、努力、勝利」でみんなで一緒に目標を達成しましょう。よろしくお願いします!」── 吉瀬真珠

「結菜とかひかるん言ってたように、なんか、メンバーみんなすごい自分がかっこつけたがり、可愛く見られたがりだから、弱いところをみなさんに見せるのが怖くて。怖いから、そういうね、なんか、その……「パシフィコー、なんか失敗しましたー」みたいなのは、あんまり言いたくなかったっていうのは、言ってた通りというか思ってた。ですけども、今回、学んだことがありまして。私は、 今の目標じゃないけど、やりたいことみたいなのが、みんなずっと一緒にいることなんですね。おばあちゃんになるまで一緒っていうのは、いろんなところで言ってるんですけど、それが自分のやりたいことで、1番の目標なので。で、それをやるためには……それをやるためには、やっぱり数字ってすごい大事ってことを学んでしまって。「一緒にいるために、リベンジする」って言われたから納得できたんですね、自分は。だから、でもでも、こういうことが起きたから……起きたからがゆえに、フリーライブとかで新しく出会えた人が大勢いるだろうし。TikTokとかSNSの方から来てくれた人とか名前だけでも覚えてくれてる人とかがすごいいると思うので、なんかちょっとしたことで、 やっぱりみんなに知ってもらえることができて、もっと好きになってもらえるってことを勉強できたから、すごい私は勉強になったんですね。だから次のパシフィコは……1回目より絶対2回目の方が東北産って上手くいくんですね。1部よりも2部のほうがやっぱ……(「ちょっと待って!」「これ1部!」と、慌てるメンバーたち。)そう、今日調子いいなって思ってたんです(笑)。そういうこともあるんですね。だから絶対に次の2部……じゃないや、ごめんて(笑)。次のパシフィコは絶対もっと良くなると思うし、みんなも、もう1回パシフィコに来れるって嬉しいじゃん! みたいな感じの気持ちでやれたらいいなって思ってました。」── 桜ひなの

「そう、みんながしゃべってる間、私は何をしゃべろうかなって思ってたんですけど……なんかまとまんないから短めに言おうと思うんですけど、なんかパシフィコのリベンジってなってるけど、なんて言うんだろう。(伊達は昂る気持ちを抑えきれず、声を震わせて、次の句が出てこなくなる。そんな伊達の緊急事態を受け、メンバーみんな伊達のもとに集まって「バブちゃん」「星が綺麗だよ」とあやし始める)。今の私たちには今しか会えないし。うん。リベンジって言われて、パシフィコは同じ会場だけど、(ライブは)同じものじゃないから……なんて言うだろ……“来ない”っていう考えはやめてください。以上ですぅ!」── 伊達花彩

「12月29日パシフィコ横浜の前哨戦。リベンジに向けた前哨戦ということで、もちろん私たちはすごく気合いを入れています。とてもとても大切なライブではあるんですが、なんかでもこうやってライブをすると、ただこの時間をみんなと一緒に笑って歌って踊ってとか、メンバーとステージをともにすることができる奇跡というか。当たり前のように感じることが、すごくすごく嬉しくなる瞬間があって。そしてそれを見て応援してくださったりとか、一緒になって嬉しい気持ちになってくださるみなさんがいる。本当に今日は、とっても、すごくすごく幸せな時間だったです。その幸せな時間を続けるために、私たちがまたここで9人で並んで、そしてみなさんと一緒に時間を過ごせるように。私たちがちゃんと1歩1歩確実に進み続けるためのリベンジだと私は思うので、絶対にパシフィコも成功させたいですし、みんなとずっと一緒にいたいと強く強く思います。今日のライブはすごく楽しかったし、年末のパシフィコへの前哨戦として、すごく気持ちのこもったライブになったんじゃないかな、皆さんに思いが届いたんじゃないかな。みなさん、いかがでしたか。こうやってセットがあったり、かわいい衣装があったり、みんなの近くに行けたりとか。 私たちがすごく幸せをもらうライブになってしまっていると思うんですが、私たちももっともっと、この夏、みなさんへの恩返しをいっぱいできたらなと思っています。これからもよろしくお願いします。」── 北美梨寧

「年末のパシフィコがあって、色々ね、私自身も思い悩むこととかもあったんですけど。でもみなさんもきっとそれぞれ思ってることとか、こうできたらな……とか、きっと私たち以上にすごく考えてくださってるんだなっていうのがすごい伝わってきて。今年からいろんな方法をやってきたんですけど、SNSだったりとか、なんかかわいい曲とか。でも、こういうのを通して出会えた人もここにはたくさんいるんじゃないかなって。そういう縁に、感謝の気持ちでいっぱいです。先ほど歌わせていただいた「旅の途中」の歌詞って、今の私たちというか、ほんとに等身大のありのままの歌詞だなって歌ってて思って。 でも私たちだけの曲じゃなくて、みなさんの曲でもあるんじゃないかなって感じました。なんかサビの歌詞に、「止まない雨が降っても 消えない痛みを抱えていても またここで声を聞かせて」っていう歌詞がすごい響いて。みなさんもメンバーもすごいきっと悩んでたり、思ってることとか、消えない痛みが心にあるかもしれない。でも色々あっても、みんなで一緒に強く気持ちを持って、そしてパシフィコで声を聞かせてほしいなって思いました。はい。ちょっと真面目な話になっちゃったんですけれども、今日は最後までみなさんと楽しんで、そして夏を楽しんでいければなと思います。ありがとうございます。」── 安杜羽加

「先ほどの文が素晴らしくて、以下同文としたいところなんですけど、以下同文してしまったら良くないので、自分の言葉で紡いでみたいと思います。まずは今日来てくださってありがとうございました。あと、最近フリーライブだったりとか、今日も満員のみなさんが来てくださって、この素敵なペンライトの海というか、星空というか。ほんとに素敵な景色を見せてくださってありがとうございます。ほんとに私はハッピーな気持ちでとってもいっぱいです。はい。私は東北産の多幸感溢れて堪らない皆産の声援と私達のパフォーマンスで作り上げるライブがとても好きでとても好きで堪りません。きゅうりよりも好き。いやどっちも好き。最近パフォーマンスをしていて思った事があります。長年、TOHOKU9メンバーで東北産を続けているけれど変わらないフォーメーションや変わらない歌割、変わらない笑顔で私達がお客さんの前に立っている事がとてもエモ散らかしてるなと思ったんです。変わらない私達と変化し続けてく私達。それについてきてくださる皆産がいるから私たちがいます! とってもハッピーで堪りません! これからも変わらない笑顔、変わらない面白さで皆産の前に立ち続けたいと思います! パシフィコ横浜、最高のライブにしましょう。お待ちしてます!」── 藤谷美海

「じゃあ最後に私、橘花怜がお話させていただきたいと思います。まずはみなさん、本日お会いできてほんとに嬉しいです。ありがとうございます。正解がないこの世の中なので、今、いろんなことを、すごいみんなで手探りで掴んで触ってみて……みたいな感じで進んできたんですけれども、結果、フリーライブもたくさんの方が来てくださったり、今日もみなさん来てくださって満員になったりして、少しずつ着実に、ちゃんと前に進めているのかなと思っています。私は最近、いぎなり東北産は 9人が最強だ、ということを知ってるんですよ。でも同時に、いぎなり東北産は永遠ではないことも、ちゃんとわかってるんです。だから、私たちが大好きだって、1番最強だって思えるこのいぎなり東北産の姿をみんなにもっとたくさん見てほしいし、これからも最強の私たちが作る伝説をみんなと一緒に追いかけていきたくて。……もう結構、自分的には、どんな未来がこの先待っていても後悔なんてひとつもないって言い切れるんです。だけど、やっぱり“みんなとだから”見たい景色があるし、“みんなとだから”行ける場所がある。なのでこれからも、パシフィコ横浜も武道館も、そしてその先も、もっともっとみんなとたくさんいろんな景色を見て、 感動を分かち合って、一緒に幸せになっていけるように頑張っていきたいなと思っています。そしてですね、なんと年末のパシフィコ横浜のチケットの販売が……おおーっ! なんと本日からファンクラブ先行で開始します! なので、今日ここに来てくれてるみんなと一緒にパシフィコに行けたらすごく心強いなって思うんですけど、皆さん来てくれますか? これからもほんとに、みんなと1秒でも長くいれるように頑張っていきますし、 そしてみんなの自慢の推しになれるように、これからも全力で頑張っていきます。みんなと夢の続きをいっぱい追いかけていけたらいいなと思います。リベンジということで、もう攻める以外の選択肢はなしです! 今日の前哨戦ライブも最後まで攻めて攻めて楽しんでいきましょう!」── 橘花怜(いぎなり東北産・リーダー)

橘花怜(いぎなり東北産・リーダー)
いぎなり東北産

『いぎなり東北産 リベンジライブ』のチケット、FC先行にて販売開始

いずれも大人たちに用意された借りてきた言葉ではなく、それぞれがちゃんと自分たちの言葉で想いを届けようとするから、時に笑いが起きつつも、それでも言葉は確かな温度を携えて観客へと伝わる。そして、あらためて年末のパシフィコ横浜公演ソールドアウトに向けての気持ちをみんなでひとつにさせたのだった。

なお、2部のMCにて不退転の覚悟を口にしたリーダー・橘花怜からも発表があった通り、年末12月29日にパシフィコ横浜国立大ホールで開催が予定されている『いぎなり東北産 リベンジライブ』のチケットが、ついにファンクラブ先行にて販売開始となっている。

『いぎなり東北産 リベンジライブ』

「皆産」とは単なる観客ではなく、9人と志を同じくする者。

「再挑戦」という意味で使われることが多い「リベンジ」という言葉。それ自体は前向きな意味を持ってはいる。しかし彼女たちが指摘するように、リベンジのきっかけとなったものに視点を移すと、“それ”に失敗したがゆえの「リベンジ」となる(“それ”が成功していた場合、当然リベンジをする必要はないのだ)。

確かに昨年末の大一番ライブ、パシフィコ横浜公演はソールドアウトできなかったという点においては失敗だったかもしれない。数字は実にシビアであり時に残酷である。たとえば仮に客席が99%埋まっていても達成率100%には絶対にならないのだから。でも実際、客席はかなり埋まっていたし、終演後のSNSの反応を見る限り、彼女たちがパシフィコ横浜で見せたエンターテインメントも好評。定性的にはむしろ成功と言ってもいい要素や反応ばかりだった。

いぎなり東北産は、アイドルシーンの内外問わず、どこに出しても認められるような素晴らしいエンターテインメント性と熱量を持ったライブパフォーマンスができるグループだ。だからこそ、マネジメントはソールドアウトできなかった事実にこだわったのだろう。昨今、ホール公演を行なったアイドルグループのライブがどうだったのか。ちょっと思い出してほしい。想定を超えた、不自然なほど大きなセンターステージを作ったり、会場後方や上階層の席はチケット価格を大幅に引き下げたり無銭ゾーンにしたり、もしくは関係者席を大幅に広げたり。そんな小手先のやり方で物理的に客席を減らし、もしくはショービジネスとしてやや疑問符がつく“動員のようなもの”を確保していた公演がいくつもあったはずだ。具体的なグループ名の明言こそ避けるが、これについては大抵の場合、ライブ終盤に撮影された客席バックの集合写真が雄弁に語ってくれている。まあだから、いろんなグループのその手の公演で撮影された集合写真をあらためて確認してみよう!と煽っているわけではないのだけど。

(話を戻して)だからこそ、いぎなり東北産は、ソールドアウトできなかった事実を誤魔化すことなく、むしろそこにしっかり向き合ったのかもしれない。裏を返せば、小手先のテクニックやごまかしに走ることなくパシフィコ横浜をちゃんとソールドアウトさせて、後ろめたいところなどなく、堂々と次のステージに歩みを進める。いぎなり東北産ならそれができる。葉月結菜が口にした「ごまかさないでやっていくのが、私たちいぎなり東北産のやり方」というのは、まさにそういうことだろう。

そして何よりリベンジを決めたことで、いくつもの新しい出会いが生まれた。初めて日比谷野音のステージに立つこともできた。過去があるから今がある。今が未来を作っていく。そして皆産と見たい景色がまだまだある。この日、客席に向けて語りかけた橘花怜の眼差しには、やさしさとは別の、凛とした頼もしさがあった。

「いぎなり東北産は、永遠ではない。」

同時に彼女はこう口にして、そして祈った。永遠ではないからこそ、今の最強の9人を、The Greatest TOHOKU 9(Nine)をひとりでも多くの人に観てほしい。知ってほしい。そのために力を貸してほしい、と。

ひとりで実現できないことも、この9人なら叶うかもしれない。この9人で実現できないことも、皆産となら叶うかもしれない。9人と今の皆産だけで実現できないことも、これから出会ってくれる人たちも含めたら叶うかもしれない。そしていぎなり東北産はまだ見ぬステージへ。いつかは立ちたいと見上げた、あの夢の斜面へ。彼女たちにとって、「皆産」とは単なる観客ではなく、9人と志を同じくする者。同志。戦友。そんな気持ちがきっとあるはず。皆産が想像するより、彼女たちの皆産への同志としての信頼は厚い。律月ひかるの「すごくありがとう」に嘘偽りはない。

今年の年末・パシフィコ横浜。この公演だけはなんとしても数字的に成功させなければならない。そして2年にわたって我々の前に立ちふさがったこの目標をハンマーでぶち壊さないといけない。最強の9人と、その9人に魅せられた多くの同志が、大手を振って正々堂々。顔を上げて次のステージに向けての歩みを進めるために。

履き潰したスニーカーとともに。

いぎなり東北産がパシフィコ横浜前哨戦ライブ。「もう攻める以外の選択肢はなしです!」

2024.07.26 いぎなり東北産『東京ワンマンライブ 〜年末への前哨戦〜』第1部 セットリスト

出囃子
東京アレルギー
おのぼりガール
テキーナ
服を着て、恋したい
いぎなり魔曲
ハイテンションサマー!
わざとあざとエキスパート
狂くるどっかーん♡
MC
TOHOKUちゃんぷるー
おぼろ花火
旅の途中
MC
メドレー(Burnin’ Heart、いただきランチャー、HANA、Fly Out)
結び
天下一品 〜みちのく革命〜
沼れ!マイラバー
伊達サンバ

いぎなり東北産がパシフィコ横浜前哨戦ライブ。「もう攻める以外の選択肢はなしです!」
いぎなり東北産がパシフィコ横浜前哨戦ライブ。「もう攻める以外の選択肢はなしです!」

【関連リンク】

いぎなり東北産 オフィシャルサイト https://madeintohoku.com
いぎなり東北産 公式X https://twitter.com/madeintohoku
いぎなり東北産 TikTok https://www.tiktok.com/@the_made_in_tohoku

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