吉川友、バンドを引き連れ音霊登場

三浦海岸はこの日、平成最後の夏に別れを告げた

9月11日、吉川友が音霊 OTODAMA SEA STUDIO 2018に出演した。

この日、『WATER FRONT 2018』と銘打たれた公演のトリを飾ったきっか。昨今は(いや、昔から)その発言、言い間違いに注目が集まりがちな彼女ではあるが、アイドルの中でも最上位ともいっていい歌唱力の持ち主。何度か彼女のライブに足を運べば、巷のアイドルのライブではなかなか得ることができない、生の歌声の“安定感”から生まれる心地よさに気づかされる。そういうこともあってか、ライブハウス後方にはこれまでにステージを終えた出演者たちもステージを見学しようと姿を見せていた(彼女の歌唱力の高さは一朝一夕で身につくものではなく、ハロプロエッグという下積み時代あってのもの。今さら記す必要はないのかもしれないが)。

一方できっかは、2018年はバンドサウンドを意識しての音楽活動を展開中。この日もきっかバンドを引き連れてステージに登場すると、「DISTORTION」「NEO SUGAR SUGAR YOU」と、アカシックが制作したアッパーチューンを次々に撃ち放っていく。吉川友ときっかバンドが生み出すグルーヴィーなノリと観客からのクラップとコール、そして波打ち際のほうから不意に入ってくる夜風。

夏の終わりを感じさせる三浦海岸に、吉川友の音楽を通じて気持ちよい空間が広がっていく。

「今日は世間的には夏休みでもなく、祝日でもなく……ド平日でございます。みなさんありがとうございます。平成最後の夏が終わるわけなんですが、今日、ものすごく寒いですよね。まあ、みなさんが盛り上がれば熱くなりますので、最後までよろしくお願いします。」

激しいほどに暑かった今年の夏の、一夜の出来事を描いたかのような「URAHARAテンプテーション」は、うねるベースラインとドラムが絡むことで、バンドバージョンだと迫力と楽曲が持つかっこよさが何倍にも増幅される。そしてこの夏はマレーシアを跪かせた吉川友が、今日は三浦海岸を跪かせてしまう。さらにお決まりのタオル回しでライブハウスに生まれていた熱量と興奮をかき混ぜる「水色」で観客のボルテージをもっと引き上げると、友フレ(吉川友ファン)からも熱い支持を受け続けている名曲「ずっとずっとずっと君がスキだ」で、きっかはステージを上手下手に動き回って観客を煽り、会場は最高潮の盛り上がりに達した。

「久しぶりに音霊に出ることができて、すごく楽しめました。」と笑顔を見せるきっか。「バライティー出演時には、頭の中でオーディションして言葉を選んでいるつもりなんですけど、不適切な発言をしてしまうこともございまして。」と、先日の『有吉反省会』への出演などの世間の反応に釈明(?)したあと、ステージは後半戦に突入。疾走感溢れるバンドサウンドが全体を支配する「ハコの中のブルー」で熱気を引っ張ると、骨太なロックサウンドの「チャーミング勝負世代」で観客を踊らせる。

彼女がラストに歌ったのは、ほかでもない音霊ということで、キマグレンが吉川友のために楽曲提供した「八月の花火」。蜃気楼のような夏の熱気と少しの切なさを感じさせるサウンドが波音と混ざり合う三浦海岸は、この日、平成最後の夏に別れを告げたのかもしれない。

ところで余談だが、ベースの劔樹人がズボンのチャックを開けたままでステージでプレイしていたことに気づいたのは、ステージを降りて撤収準備を始めてから、であった。

◆吉川友 オフィシャルブログ
◆吉川友 Twitter

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