JFN系『レディークラウド』の武田舞彩が2021年初ライブ出演

JFN系『レディークラウド』の武田舞彩 news_and_report

この春より毎週土曜朝5時からのJFN系『レディークラウド』でパーソナリティを務めている武田舞彩が、2021年初となるライブイベントに出演(共演:日乃まそら、松井さやか(転校少女* ))。松たか子の名曲「明日、春が来たら」のカバーに加えて、「RADIO」「渇き。〜Second Wind〜」のふたつの新曲などを初披露した。

 

『NEW NOISE! – spring unpluged special -』

今回のイベント『NEW NOISE! – spring unpluged special -』は、オープン40周年を迎えているshibuya eggman主催のスリーマンライブ。“spring unpluged special”とサブタイトルが付けられているように、武田舞彩、日乃まそら、松井さやかの3組がアコースティックギターを手にしてライブを行なう。さらに3組は、ライブの共通テーマとして春の曲のカバーを披露。春の手触り、耳触りを感じさせる対バンイベントにもなっていた。

 

ところでこの日は、開演前から何か不穏だった。それは単に激しい雨が降っていたというだけでなく、松井さやかが、ギターのペグが折れるというアクシデントで、急遽、新しいギターを購入してから会場入りするという事態になったのもそうかもしれない。一方、武田舞彩といえば……舞彩のリハーサルは、とりあえず初めて人を見た野生動物かのように常時テンションは高く、特に大きなトラブルもなく終了した。ただ、それすらも“予兆”だったのかもしれない。

 

いやまあ、終わった後だから何とでも言えることだが。

武田舞彩

名曲「明日、春が来たら」カバー

まん延防止等重点措置の適用を受けて開演時間を30分前倒ししてスタートした本イベント。舞彩は2組目に登場する。彼女にとって2021年初の有観客イベント出演とはいえ、ハワイアンコアを贅沢に用いた愛器・Taylor K24ceを抱き、普段と何ら変わらない様子だ。

 

「みなさんこんばんは、武田舞彩です。よろしくおねがいします。今日は、みなさんこんなご時世ですけど、遊びにきてくれてありがとうございます。みんな、欲も溜まっていることでしょうから、怒られない程度に楽しんでいってください。」

 

さっそく舞彩は「おんなの化け学」を、キレのいい、ビバーチェなサウンドで歌う。そのまったくもって安定したボーカルに引き込まれていく観客。ところが途中から、舞彩が紡ぎ出す音に異音(ノイズ)が混ざるようになってしまう。

 

ただ、そんなノイズすらパーカッシブに聴こえるほど、この日の武田舞彩のパフォーマンスは素晴らしかった。

 

JFN系『レディークラウド』の武田舞彩

1曲目が終わったところでスタッフがステージイン。再度、シールドの抜き差しを行なって異常がないことを確認する。しばしのブレイクの後、舞彩は「なんかごめんねぇ。うるさかったよね。これもライブのハプニングということで、楽しんでもらえたら。」と呼びかけ、会場からは笑いが漏れる。

 

彼女の言う通り、パプニングも含めてこそのライブ。もちろんライブというエンターテインメントには、“音源を忠実に再現する”というスタイルも存在する。しかし、彼女のライブは、音源+αの要素で、今、この瞬間にしか得られない体験を共有する形のエンターテインメント。つまり、ハプニングも引っくるめて同じ時間と空間と体験を共有してくれたオーディエンスが、最後に満足して席を立ってくれたら、それは彼女のライブとして成功なのである。

 

「この4月からJFN系列で『レディークラウド』っていうラジオ番組のパーソナリティを始めさせてもらって、その初回テーマが“Spring song”だったんです。このライブは春の曲を1曲演ると決まっているので、そこで流してもらった曲から1曲カバーしたいなって思います。」

 

そして舞彩が弾くきらびやかな音色が、誰もが確かに耳にしたことのあるメロディーへと姿を変えていく。それは松たか子の名曲「明日、春が来たら」。魅力的に響く舞彩の中音域を使ったボーカルとリズミカルなギターサウンドが、まるで春の訪れを知らせる花々と若葉の香りのように折り重なり、フロアいっぱいに広がっていった。

 

ふたつの新曲と「トビウォウウォウウォウ!」

さらに彼女は、ふいに流れてきた曲が自分の気持ちに寄り添ってくれるようなことがあるという経験とともに、“自分の中でも特別なもの”であるラジオをテーマにした楽曲「RADIO」を初披露する。力強いアルペジオに彩られたスローバラードは、夜更けまで机に向かっていたあの頃にラジオから流れていた、どこか懐かしい、だけど知らない曲のよう。武田舞彩の歌声が、静かにやさしく凛とした会場の空気を微かに震わせていく。

 

(騒がしい世の中にかき消されたあの子は……。)
(幸せを探すことに慣れていない私達は……。)

 

彼女が歌い終わり、拍手の隙間に漂う余韻。しばらく上記のような思考の場と化していたフロアは、不意に舞彩から問いかけられた「今、すごい流行らせたいものがあるんですけど、いいですか?」という言葉によって、現実へと引き戻される。

 

「ノリノリになったときに、私が『トビー?』って言ったら『ウォウウォウ!』って言ってほしくて。でも今、声出し禁止だからできないのであれなんですけど(笑)。またライブでやってほしいんです。トビウオの『ウオ』が、ノリノリの時はもっと増えていく感じで。「トビウォウウォウウォウ! イェイイェイイェイ!」っていうのを、いつかライブでやりたいなって思っていて。……めっちゃスベった。やばい(笑)」

 

武田舞彩、「RADIO」の後に「トビウォウウォウウォウ!」にリグレットである。

JFN系『レディークラウド』の武田舞彩

その後、舞彩は、しっかりとしたテンポ感を効かせた「Truth Proof」を歌唱。想いを乗せた声で観客を突き刺すように喉の奥から暴れさせる。その後のMCでは、短期滞在中のマネージャーの実家で出される、マネージャーのお母さんのピーマンの肉詰めを絶賛していた。余談だがライブが終わってからも絶賛していた。よほど美味しいに違いない。

 

そして最後に、ポジティブな気持ちとネガティブな気持ちの振れ幅も大きくなる昨今で、自分と向き合い、「何が大切なのか」「何をやりたいのか」と、余計なものを断捨離した結果として残ったものが音楽だったと明かす。だからこそ、そんな音楽への覚悟を歌にした、こちらも新曲「渇き。〜Second Wind〜」を披露。ギターを掻き鳴らしながら、渇望を歌い上げる舞彩。しかしそれは不満でも諦めでもなく、むしろ現実から目をそらさずに、自ら奮い立たせるかのように。もしくは、小高い丘に立ち、風を集め、裾をはためかせ、虚空に手をのばす。そんな映像が似合いそうな、澄んだ空気感を持った楽曲となっていた。

 

オーディエンスからの拍手を受けて、舞彩は自分のステージを終える。前半に「オーディエンスが、最後に満足して席を立ってくれたら、それはライブとして成功」とは書いたものの、周りからの評価と自分の手応えに乖離が発生してしまうのは、彼女の若さゆえなところであり、また表現者として致し方ないところでもある。この日、本人としては、途中でステージを中断させてしまったギター周りのトラブルが相当悔しかった様子。自身のステージが終わってからしばらくは、湧き上がってくる様々な感情に突き動かされるような言動を見せていた。

 

まあ、とはいえ、ライブが跳ねたあとで彼女を待っていたのは、観客や関係者たちから直接寄せられる驚きや称賛の声。最終的にはこの日、ごきげんに1日を終えた武田舞彩であった。(めでたしめでたし)

JFN系『レディークラウド』の武田舞彩

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